親子を無理に離さない
乳幼児期は、主に親のそばで育つのです。親に甘えながら、徐々に生活の範囲を広げていきます。徐々に遠くで遊び、何か不安なこと、悲しいことがあると親のそばにきます。そして慰められて安心すると、また遠くに行って遊びます。
個々の子どもの状態を配慮しながら接することで、安定した心に育つのです。離れ方はそれぞれ違いがあります。
自立心や独立心は、子どもの心の中に、ひとつひとつ芽生えていくものです。離し過ぎても、離さな過ぎても、子どもの心にイライラが生じます。特に現代社会では、親と二人で過ごすことが多く、友達の関わりや、多くの人との関わりも少ないため、早く離さない方が賢明なのです。
親から離れて遊べた自信。親にいつでも慰めてもらえる距離にいる安堵感を十分に感じながら、心に芽生えていく好奇心、遊びのおもしろさ、友達との関係の楽しさを自覚できた子は、自立、独立心が確立されていくのです。親から無理に離されると、独立心が育ちにくくなるのです。
芝生の上での親子 親も教育者も、子どもの心の中に徐々に芽生えていく自立、独立心がどのようなものかを再確認してほしいものです。子どもが育つ生活環境は、5年もすれば大きく変化します。教育も変えなければ人間の変化についていけないことになります。私達教師は、常に人間探求が必要です。
自分の人生をたくましく生きる子に
自然の中で遊んでいる子どもの目は、素直で、明るく輝いています。不思議、おもしろさで心をくすぐってくれるのが自然です。自然に学んでしまう喜びと感動が、大自然の中にいっぱいあるのです。自ら発見していく喜びを多く体験すればするほど、主体的に学ぶことの喜びが増すものです。このような生活体験ができる子どもは、大人になり、たくましく生き抜く力を身につけられます。スイスの人格医学者ポール・トゥルニエ氏の言葉の実践をしてきました。
幼稚園の屋根の上で
人間にとても大切な自発、主体、想像、創造、協調、社会性などは、親や教育者が教えられるものではありません。日常の生活体験で、ひとつひとつ自ら身につけていくものであることを再確認したいものです。
『自由に、伸び伸びと育てると小学校にいって困る』『先生の言うことを聞いて、何でも出来る子どもにしたいので、しつけ、規律の厳しい所にいれて』『みんなと同じことができる子どもになってほしいので、画一教育のところで』と言う人がいます。結果がどうなっているのか見ているのでしょうか。3歳からトモエで家族と過ごした、小学校の1年生の男の子の言葉から考えて下さい。
『自由って何をしてもいいっていうことではなく、
何をしていいのか、悪いのか、
自分で考えなければいけないんだよ。』
主体的、自発的な生活を幼児期に体験した結果から出た言葉です。