愛は気球を救う

 もう春はすぐそこですね。でもふり返れば、年明けから天候が落ちつかず、雪かきに翻弄される日々や、暖冬を匂わせる日もかいま見ながらの冬だったような気もしています。

 

 そんな中、2月のある日に、トモエで熱気球搭乗会が行われました。当日は雲ひとつない晴天と無風の中、航空写真家の八戸耀生さん率いるお仲間たちのご尽力の下、トモエの森に真っ青な熱気球が浮かび上がりました。

 

 熱気球搭乗についての告知からわずか一週間ほどでしたが、たくさんの寄付も集まりました。お母さんたちが、「子どもたちがお金を入れたくなるような、おもちゃみたいに楽しい」「思わず見とれてしまうような、絵画作品みたいに芸術的な」、いろいろな募金箱を作ってくれました。この募金箱は、カラフルな人間色であふれているトモエの日常を映し出しているようにも感じられました。

 

 今回、「寄付」の尊さを実感することができたように思います。あらかじめ気球の搭乗料金を設定してしまえば、それは乗る側の「権利」となり、同時に用意する側の「義務」となってしまい、双方が相対する関係となりかねません。(イベントなどで、そういう形がふさわしい状況の時もあると思いますが)

 

 しかし、「空からトモエを見てみよう!」と題して行われたこの会は、これからもトモエのみんなが、広い視野をもって新しい世界へと進んでいけるよう、願いが込められたものです。この願いがみんなの心に届くためには、人と人とが対立することなく、みんなでいっしょに創り上げることが大切だと考えられていました。そして当日は、お父さん、お母さん、スタッフが力を合わせ、地上10メートルではたくさんのすてきな笑顔が見られました。

 

 募金箱の中にあふれたのは、みんなの気持ちです。そんなトモエを創った園長は、初めから「気球に乗ったみんなの笑顔」のことばかりを話されていたことが、とても印象的でした。熱気球搭乗会は、トモエのすばらしさに魅せられた、最高の一日となりました。