2020年6月メッセ―ジ

生きる意味を考える基本的な生活に帰ろう

   ・社会構成の核である若い家族を育てる時代が来た。

   ・自分と向き合う生活が、幸せになる真実と出会う。

   ・自分と向き合う日々で、同じ人間である家族や隣人を理解し合える生活が実現。

   (命を生み出す若い家族をどう育てるのか。

     人生の先輩が問われる時代が来ている。)

園長 木村 仁 

 

新型コロナウィルスで、「ステイホーム」「テレワーク」などで、時間にも追われないで、家族が向き合う生活空間ができたようです。自分が信じた相手との共同生活を第一にしようと、早くから行動に起こしていた人もいたでしょう。通勤に何時間もかけ、それだけでなく満員電車で揺られ疲労困憊の生活。どうしてこうなるの!と疑問に思いながら生活をしていた人もいるでしょうね。

「コロナの世界的感染」で、家族が家に居ることが多くなり今まで以上にお互いに向き合って生きることになりました。「家族とは何か」が問われてきましたね。

「トモエの家族的な生活空間」をここ十数年前から、多くの若者が全国から、世界からも見学に来ています。家族を中心にした人生を創りたいという若者が増えて来ているように感じています。

男女が信じ合い家庭を創る。男女が信じ合ったことから命が生まれる。その命は、親に信じられ信じられる喜びを身に付け、自分を信じ、人も信じられる人間になる。『家族とは信頼。』

信頼で家族は、何十万年?も続いているのですよね。

『家族から創造される信頼』は、現代社会では、生きる意味の核となっているのかな・・・

 

戦後から高度成長、消費優先の生活、科学技術の発展などで過剰な情報化社会ともなりつつある時代。『人は何のために生きている・幸せとは何か』など忘れてきてはいないだろうかと思い続けて50年になりました。心・魂・良心などが空洞化してきているように思えてなりません。

・人は、どのように生まれ、命が与えられたのでしょうね。

・人は、何を目的に日々生きているのでしょうね。

・親や大人は、子どもたちに理想は押し付けるけど、大人は見本を見せようとしない・・・。

 340年ほど前から子どもに理想を押し付ける大人を発見していた人がいましたよ。

 当時は、喜劇セヴィリアの理髪師。現在は、歌劇として演じられています。その一節に、

「殿様。みんな子どもには多くの美徳を要求しますが、それなら子どもにふさわしい親なんて、どれほどご存じでございましょうか」と言うセリフがあります。大人は、どうする!

・大人は、次世代に何を残したいのか。人生の先輩の大人は、真剣に行動を起こす時代であるように、思うのですが・・・

コロナウイルスの存在は、見えないから恐怖なのですよね。人間の豊かな心や魂も見えづらいですよね。自分の内なる良心の叫びに少しでも応えようとすることが難しくなっている時代と言えます。自分は何のために生きているのかを、思考する生き方を生涯かけることを私はしたいなあ・・・

「君たちはどう生きるか」吉野源三郎著(岩波文庫)が多くの人に読まれているようです。

漫画本にもなり、多くの若者にも読まれています。1935年7月に初めて配本されたと、吉野源三郎氏は言っています。人生の先輩は、「生きる意味を思考する」ことを残してくれました。

 

新型コロナウイルスが世界全体に感染し、多くの人が亡くなり悲しみに包まれています。

人類は、未来の生活をどのように共に補い合い、助け合って生きるのか「あなたたちは、どのように生きるのですか」と問われているように思われます。

この本が出版された1年後の1938年に私は生まれ、60数年後にこの本に出会い、心の友とさせてもらっています。私は、15歳の年に北海道に両親と移住してきました。大自然の中で生活している中で、「自分は何者なのだ!生きている意味が分からない!(失恋したわけではありませんよ)」思考し悩み続けて81歳になりました。今まで生きてきて、私は、何を残せるのかを考察しながら生きています。

 

人間が生涯幸せに生きるための生活なのに、政治・経済・教育・科学技術研究は(真実)・・・?

今後、未来に何を残したいのか。人生の真実を求め続けています。多くの人と共に『生きる意味を求める人生』を探しながら生きようとしています。

大人たちは、「生きる意味を世代間伝達する責務」があるのです。ですよね・・・

私は、「生きる意味を求める生活」のために、野生動物の生活(生態)を、見る努力をしています。夫婦、親子、家族がそして群れて助け合って生きているのです。人間の幸せな生活の原点は、野生動物の生活から多くを学んでいます。原住民の素朴な生き方や、質素に生活している南米のウルグアイ元大統領ムヒカさんや19世紀の農耕生活をしているアーミッシュの生活からも学んでいます。

人間がひとりでも多くの人が、ほんとうの豊かな生活(心の通い合う生活)ができるような生き方を原点から学び続けたいですね。

 

人間は、人間の本能を胎児、乳幼児期から、脳を総体的に刺激される環境で生活していれば、男の子は15歳前後、女の子は12歳前後で「私は誰!・生と死と生きる意味を思考」する大人になるようです。乳幼児期から大自然と共に生き、親しく人と関わる生活環境があれば、総体的に脳が刺激されるのです。現代人は、生きる意味の考察を忘れつつあると思います。人間の悲劇が、世界を変革してきているようですね。

人間は「生きる意味」を生涯思考しながら生きる動物であるはずなのに、生きる意味を考えずに自分自身をごまかして生きているように思うのです。

生命科学をはじめとして、生理学・脳科学・乳幼児精神医学・発達心理学・社会心理学・自然環境学・動物行動学等々人間に関わる全ての学問の研究者は、賛成して下さるでしょう。なぜなのか、遠くの時代から受け継がれてきた事柄だからです。人間生きるためには、人間を総合的にかつ、人間についての基礎的な科学が必要不可欠なのです。

 

アルバート・アインシュタインは、「専門的なことを教えるだけでは十分ではありません。専門知識だけでは、役に立つ機械のような人間になれるかもしれませんが、調和のとれた

(バランスのいい)人格者にはなれません。」と。

現代社会は、アインシュタインが言うように、人間の科学ができない世界になってしまいました。どうしてでしょうね。多くの人が幸せになれる生活環境を創りませんか。

1988年日本学術会議は、第106回総会で「人間の科学特別委員会」を創設しましたが、自然消滅してしまいました。どうして消滅したのか調べてみました。専門分野の研究者個々が専門的な話をしたが、横のつながりが持てずに(人間を総体的で基礎的)会議が成立できなかったと聞いたのです。

その趣意書の内容は、現代社会の未来に向けて必要不可欠な事柄なのです。

その趣意書の提案理由を学術会議事務局からFAXで送ってもらいました。記載します。

(最後のページにFAXの原本で記載します。ぜひ、読みこんでください。)

 

私は、50数年かけて「生きる意味を」考察しながら、多くの家族と共に歩んできました。

私なりに、多くの研究者の報告書から『人間の基礎科学を探求実践』し続けています。今後も人間の不思議と神秘を多くの方たちと探求を共にし、歩みたいですね。

人間のすべての諸問題は、大人たちが創ってしまったことです。地球にも、そして人間にも手を加え過ぎたのでは・・・。

豊かな人間性を取り戻すための具体的な行動をしませんか。

私には、重すぎる人生の課題ですが、今後何十年もかけて次世代に残せる生活環境を創造します。私は、人間の不思議と神秘の探求を総合的に表現することは難しすぎます。何度も挫折してきた50数年です。多くの方と共に歩みたいですね。

 

最後に、希望を与えられる言葉を添えます。アインシュタインの人間研究をさせて頂き、勇気を与えられています。人生の先輩を勝手に親友とさせていただいています。

『想像力は、知識よりも重要です。知識には、限界がありますが、想像力は世界を包み込むことができるからです。』

 

もう一人の親友の素敵な言葉を紹介したいです。

「NHK アインシュタイン・ロマン6エンデの文明砂漠」1991年出版(日本放送出版協会)ミヒャエル・エンデの言葉です。

『人間の創造力とは、人間の“永遠の子どもらしさ”そのものです。それは、その人間が八歳であろうと八十歳であろうと、まったく同じです。人間が子どもであることをやめた時に、この創造力もまた失うのです。人間における本来の人間らしさとは、この創造的なる能力にあると思います。』

『ファンタジーとは、新しい概念を考え出すことです。すでにある概念を新しい関連に置きかえることにほかならないのですから。つまり創造力そのものです。』

永遠の八歳で生きましょうよ。人生の先輩の言葉をエネルギーにして・・・

 

心の支えになって45年。人生の大先輩で親友のポール・トゥルニエ・スイスの人格医学者。

子どもの本質がどのように育つのかを、短くまとめて話しています。真実であると確信しています。

「子どもは、大人から敬意を払われている度合いに応じて自分の人格を意識し、自分の人間としての尊厳を自覚して自分自身を尊重するようになります。そしてこの自己尊重がのちに、大人になってからの道徳的態度全体に影響を与えることになります。」

「子どもの頃に遊ぶすべを心得ていた人は、大人になって働くすべをわきまえた人間になります。こういう人は、ものに集中する能力とか共同作業のこつ、アイディアを生み出す力など、子どもの頃に遊びのために磨いた才能を、大人になった現在、仕事に生かすことができるでしょう。」

 

人生の先輩が真実な言葉を残してくれた。人生の後輩は、近代的なセンスで実践したいと望み歩みませんか。

 

日本学術会議が1988年10月20日第106回臨時総会で『人間の科学特別委員会』設置を可決した。人間の科学が成立できないのは、日本でなく世界的な現象でしょう。

園長は『人間の幸せと平和を創造する、人間の基礎科学研究所』を世界に創ることを提案し続けます。国連にも訴えます。みなさんができることから始めましょう。

トモエの基礎科学の実践は、世界の人々に共生する喜びを分かち合えます。