地球の試練だったのではないかとさえ思われたこの二年間。少しおちつきを取り戻しつつ、年の瀬を迎えられることに感謝です。人と人の絆や、人が生きる環境について、あらためて考える機会を与えられたようにも感じています。中でも私は、子どもが育つ環境の大切さを実感しました。いつの日も、世の中にふりかかる出来事に、子どもたちは無防備にさらされることになります。そしてどんな時でも、与えられた環境の中でしか生きられない子どもたち。そういった意味において子どもたちは「よわい」立場だけれど、自分の身の丈(=よわさ)を知っているから、精いっぱい生きているのだと思います。だからこそ、子どもから感じたり学びたくなるのかもしれません。
「子どもが育つ環境」と言えば、トモエの環境です。子どもたちの表現を大人がなるべく邪魔しないことで、自分を大切にできて、やさしさが育つトモエ。やさしさが本当に大切だと思うのです。なぜなら、「やさしい人はつよい」と思うからです。「つよさ」とは、決して目に見えてわかるものだけではなく、むしろ、表に現れている「強さ」とは別物のような気もしています。
やさしさが育っている人は、人にやさしくできて、自分も大切にできる人。だから自分が人よりつよいなどと思う必要もなく、どちらかというと自分はよわいと思っているのかもしれない。まだ自分はつよくなれると自分を信じ続けられる、そんな人がもしかしたらやさしい人なのでは、と思います。あくまでもつよさとは、自分の内面に向かっているものだと。だからつよさを外側に出す機会なんて、そんなに必要ないのかもしれない。ここぞという大切な場面につよくなれれば、それで十分なのだと思います。
やさしさが育つ、心がつよく育つには、心の支えが必要です。それは子どもにとって、いつもそばにいてくれて信頼できる誰か。それがお母さんであることが多いですが、そんなお母さんに、「ママ、いつも僕のことを考えていてね」と満面の笑みで言えるトモエの男の子。男の子特有のギャングエイジ的な友だち関係の中で、ふだんはあまり言い返すことをしないので、お母さんもついやきもきしてしまうそうですが、肝心な時はすごい力を発揮するそうです。お母さんが心の基地で、安心して素直な表現ができるから、人にも自分にもやさしい。そしてちゃんとつよい心を持っているのだと思いました。