暑かった一学期が終わりました。今年は春先から気温が高い日も多く、この頃では、プールでの水遊びや晴天下での外遊びも楽しめる日々でした。青い空と緑の木々の中で体を動かすことは、気持ちがいいですね。そんな北海道の短い夏は、瞬く間に過ぎていきます。でも、毎日こうも暑いと人間、時にイライラもしてくるわけでして(笑)。そんな時に発散させてくれるのもやっぱり自然なのですが、ともあれ今回は、「怒る」についてのお話です。
先日、こんなことがありました。お昼どき、たまたま集まった親子・子ども・スタッフがテーブルを囲んでお弁当を広げようとしていました。その中に、ひとりのスタッフといっしょにひとつの椅子にきゅうくつそうに座っている女の子がいました。私は「ここ空いてるよ、座る?」と何気に自分の隣の席を促してみると、女の子が「え~、〇〇だからやだ~、こっちがイイ!」(〇〇は私への中傷の言葉)と言いました。
私は当然のことながらイラっとしました。(怒の感情)同時にへこみました。(哀の感情)何でこんなこと言われなきゃならないの?腹立つわ~、でも相手は子どもだよ、だけど伝えなきゃ、さあ何て切り替えす?と瞬時に、頭の中で感情を制御しつつ思考が総動員!そうやってとっさに発せられた言葉は以下でした。(これ、AIとかナントカG〇Tには無理ですね)
「何でそういうこと言うかなあ~?!失礼じゃない?傷ついたわ~」
いや~な顔ではっきりと、「怒」と「哀」を両方伝えました。自分が受け取ったものをそのまま返したというか。すると女の子、本当に瞬間だけ真剣なまなざしになったかならないかの後は、てへって肩をすくめた感じで「(弁当の中身が)昨日の晩ごはんのおかずをママが入れてさ~」と、全く関係のない話をふってきました。私は、伝わったな、しかもこちらに配慮までしてくれているなと気づきました。その後は、晩ごはんのおかずをネタに、会話のキャッチボールを楽しみました。午後は、体育館で遊んでいると、女の子の方からちょっかいを出してきてボディタッチ。そして翌日は、女の子の方から元気なあいさつをしてくれました。大人の私が、子どもに配慮されていることを実感する出来事でした。
女の子はきっと、「怒られた」「叱られた」と捉えたのではなく、相手が「怒ってる」「悲しんでる」と思ったのでしょう。全くその通りなので、それがありのまま伝わったことが良かったのかと思います。だから、委縮して余計な自己防衛をすることなく、自分の表現の仕方で相手に返信することができたのでしょう。『相手のために』諭そうとすると、きっとそれは、一方通行の攻撃にもなりかねません。それよりも、「相手に自分の気持ちを伝えること」をまん中に据えることが大切かと思います。自分の腹(感じたこと)をそのまま見せてあげたら、相手も腹を見せてくれて、相互的な関係を生むことにつながるのでしょう。
大人だって、子どもに対して腹が立つ時はもちろんあるから、素直に表現してもイイと思いますが、大切なのは、伝え方とその後のフォローですよね。「対等な人間関係」と言えど、私たち大人は、子どもからしたら、やっぱり人間としてウン十年選手(笑)なので、そこは感情をぶつけっぱなしというワケにはいきませんよね。言い方や伝え方はもちろん考えるし、子どもの表現の仕方もさまざまだということを念頭に置いて、相手の頭の中に対しては、常に想像力を駆使するくらいがちょうどいいかもしれません。(対子ども、に限らずですね)
なかなか難しいと思うかもしれませんが、そこで強力な味方となってくれるのが「ユーモア」です。ユーモアを忘れないことは、心に余裕を持つことに他ならないと思います。トモエでは、園長が日々、ユーモアを実践しています。私たちは、いつもその姿を見て学んでいます。
いつも心に、楽しむこと・喜ぶこと、と同じくらい、罪悪感を感じることなく、怒ること・悲しむことも標準装備させておいても良いのでは。今回も、自分の中に沸き上がる怒や哀をありのまま認めてこそ、新たに楽しくて喜びを感じられる人間関係を結ぶことができたのだなあと思います。
そして基本は、喜怒哀楽を素直にバランス良く表現できる自分でいられるよう、ふだんから意識して体を動かすことかと思います。体を動かしていれば心も動きます。それは日々、子どもたちが教えてくれているから間違いなしです!