2024年度0708月号

先日訪れた京都の私立幼稚園理事長、園長らにトモエを理解してもらうために作った資料です。

 

トモエ(コミュニティ)幼稚園について

園長 木村 仁
教頭 米澤正人

人間観察研究と実践のポイント~55年の積み重ねからの報告

=さらに続く人間の未知なる果てしない世界の探求

 

トモエコミュニティの特徴

 

家族で集う

①家族関係、特に母子関係の深まりをつくる場

②胎・乳幼児から人間の本質を学ぶ場

③在園家族、卒園家族、スタッフと共に、ワクワクした生活を創造する場

  (convivial~ワクワクする共生の場)

 

集団の質

①性別や年齢、個性のバラエティー溢れる場(乳幼児から老人までの参加)

②互いに支え合い、補い合い、助け合う場(生活感のある場)

③国際的な雰囲気を持つ場(外国人も参加)~エジプト、ベトナム、アメリカ、フランス、

ポルトガル、ロシア、カザフスタン、中国、韓国などからの参加

 

個と関係性

①自他の“主体”を尊重し合える関係づくりの場

②(言語的・非言語的)コミュニケーション能力の基礎を胎・乳幼児期から養い向上させる場

③素直に表現する乳幼児から学び、大人も素直に表現することで、互いに理解が深められる場

 

人間性の追求(人間の本質の理解)

①生活(生きること)を通して人間的成長が促される場

②人間的成長のための場を共に創造し共有する場

③強制を少しでも少なくする共生の場

 

長たるものの存在

①園長は、自己観察と分析をしつつ、人間の本質を球体的に探究し続ける

②人間を理解することを生涯かけての課題として持ち続ける

③人間としての自他の長所や短所、強さや弱さを受け入れ、期待を膨らませて生きることを表現する

 

Ⅰ 自然

 

自然が人間に与える影響・・・自然に勝る教師なし(胎・乳幼児期こそ自然に浸る生活が必要)

①感覚への影響 ~ 五感

②感性への影響 ~ 美しさや醜さ、心地よさや心地悪さ、畏怖感情など

③身体への影響 ~ 機敏性、敏捷性、バランス感覚、複数の感覚の協応など

④精神への影響 ~ 癒し、リラックス、好奇心、忍耐力、希望、直感など

⑤認識への影響 ~ 発見、知覚、観察、気づき、確認、理解、本質の追求など

⑥思考への影響 ~ 神秘や不思議さ、様々な要素の関係性の追求など

⑦想像性への影響 ~ 様々な素材を組み合わせる、天と地、明と暗、動と静など

⑧超越感覚への影響 ~ 自然や宇宙の摂理や秩序、神

 

Ⅱ スタッフ

 

常に自己成長を追求する共生集団~ワクワクする生活を創る

①人間性の表現者 ~ 感じる、考える、追求する

②バランス感覚の自覚 ~ 心身の好不調を自覚的にコントロールする

③学ぶ ~ 乳幼児から、親から、スタッフ同士で、書籍やその他さまざまな人や媒体から

④見本 ~ 会話、関わり方

⑤教師 ~ 教える、指導する、援助する

 

毎日のミーティング

(スタッフ女性4人男性4人と園長、サポートスタッフ、全員そろって。時には在・卒園父母も参加)

①予定(翌日、週、月、年)や行事のための話し合い

②子どもや親の様子(言動、人間関係、興味の対象、会話、悩みなど)~分析(写真や動画も)~対応

③現代社会の状況、人間の心身の成長・発達、親子関係など社会的心理的医学的な話題

④人間の存在価値についての話題~哲学的思想的な思索~過去、現在、未来から人間の心の行方の考察(感じることや考えること、人間の尊厳、主体、心、魂など人間の内面の考察)

 

Ⅲ 親

 

親参加の意義

①胎・乳幼児の精神的安定 ~ 安心感(親が安心安全の基地)・・・安定的愛着関係

②親としての学び ~ 子どもとの関わり・観察~知る・理解する・・・人間の本質の理解

    親(人間)としてのたくさんのモデルがある(親同士やスタッフから)

③共同体意識 ~ 支え合う、助け合う、補い合う(共生社会)

④乳幼児期の再体験 ~ 生きなおし(自分の育てなおし)

⑤大人の目 ~ みんなで子育て(共同養育)

 

Ⅳ 子ども

 

オープンスペース

①ダイナミックな活動展開 ~ 空間の広がりを感じられることによる

②多様な活動の選択 ~ 主に視覚的聴覚的なアンテナで刺激をとらえ主体的に活動を選択できる

③幅広い人間関係 ~ 直感で相性の合う好きな人を選ぶ(友だちの輪が広がっていく)

④精神的な解放 ~ 素直な表現

⑤乳幼児や大人の活動が把握しやすい(スタッフにとって)

 

自発的活動の重視

①主体性の保障 ~ 内発性、能動性

②充実感、満足感の保障 ~ 快、集中

③必要性の保障 ~ 個性の尊重

④関係性の保障 ~ 物との関係、人との関係

⑤自由の保障 ~ 自由と責任

⑥時間の保障 ~ 自分時間

 

 

安心感~自己を肯定できることの土台(主体としての自分を感じる)

①親や他にも受け入れてくれる大人がいる

②大人から否定されない(なるべく怒らない、ほめない。共感と共鳴し合う関係)

③信頼関係の深まり

④本音を表現しやすい(自分を抑え過ぎない)

⑤愛着の安定的継続

 

素直な表現(人間の中で最も素直に表現できる乳幼児)

①精神的安定~自分の気持ちを抑圧しなくて済む

②自分の理解が進む(自己理解)~他者の素直さ(本音)に触れてその人の理解が進む(他者理解)

③自己理解と他者理解のバランスの上に自己コントロールが可能になる

④周りの者(大人)にその子自身の理解が進む~子ども(というもの)理解~人間(というもの)理解

⑤受け入れ理解してくれる人への信頼感が増す~自分への信頼(自信)と他者への信頼

⑥自分を肯定しながら日々を過ごすことができる

 

 

子どもたちの言葉から・・・

「自由って、何をしてもいいということではないよ。何をしていいのか、何をしてはいけないのか、自分で考えることなんだよ」

「ねえ、誰のことが一番好き? 私はね、自分が一番好き。自分のことが好きだから、他の人のことも好きになれるの」

 

精神医学者ポール・トゥルニエ博士『人生の四季』より

「子どもの頃に遊ぶすべを心得ていた人は、大人になって働くすべをわきまえた人間になります。こういう人は、ものに集中する能力とか共同作業のこつ、アイディアを生み出す力など、子どもの頃遊びのために磨いていた才能を、大人になった現在、仕事に生かすことができるでしょう」

「子どもは、大人から敬意をはらわれている度合いに応じて自分の人格を意識し、自分の人間としての尊厳を自覚して自分自身を尊重するようになります。のちに、大人になってからの道徳的態度全体に影響を与えることになります」

 

 

・・・当園理事の中野教授からの手紙・・・