自然と子どもと大人の関係
①乳幼児期の刺激に敏感な時期に自然に触れる
子どもが成長するうえで、自然に触れることはとても大切です。人工物も私たちに刺激を与えてくれますが、自然の素材や現象の複雑さや多様さには及びません。特に乳幼児期は、脳や体が急速に発達する敏感な時期です。この時期に自然の中で遊んだり、観察したりすることで、心身の豊かな発達が促されなす。大人は、子どもが自然とふれあう機会を積極的につくることが大切です。人工物だけでなく、自然の中でしか得られない体験を通して、子どもは人間として大切な力を身につけていくのです。
②自然に対するように乳幼児に接する
乳幼児は、まだ言葉で自分の気持ちや考えをうまく伝えることができませんが、実は植物のように自分の中に「成長したい」という強い力を持っています。まるで芽が自然に伸びていくように、乳幼児も自分の力で成長しようとしています。そういう意味では、人間の中でも乳幼児は、特に自然に近い存在だと言えます。だからこそ、大人は乳幼児に接するとき、自然を大切にするのと同じように、優しく見守り、しつけや教育で無理に変えさせるのではなく、その子が自分の力を発揮できるようにサポートすることが大切です。乳幼児の中にある「伸びようとする力」を信じて、思いやりと謙虚な気持ちで接することが必要なのです。
③大人自身が、乳幼児と一緒に自然に触れ、彼らが受け取る自然の不思議や神秘を共有する
乳幼児が自然とふれ合うとき、大人の役割はとても大切です。まだ危険に気づく力や判断する力が十分でない乳幼児には、大人がそばで見守り、安全を守ることが必要です。しかし、それだけではなく、子どもが自然の中で感じた「ふしぎ」「きれい」「なんだろう?」といった気持ちに、大人が共感することが大切です。ただつき合うのではなく、子どもの目線に立って一緒に感動することで、子どもは自分の感じたことを大切に思えるようになります。特に、親など身近な大人が共感してくれると、その気持ちはより強くなります。そして、本当の共感は、大人自身も自然に対して心を動かせるかどうかにかかっています。その時は共感できなくても、子どもと一緒に自然との触れ合いを続けていくことです。人にはもともと自然とつながり、心を動かす力があるからです。大人も子どもとともに自然を感じることで、その力がよみがえってくるのです。