安心感~自分らしく生きていくための土台

 
 

①親や他にも受け入れてくれる大人がいる

子どもが安心して自分らしく生きていくためには、周囲の大人から受け入れられていると感じることがとても大切です。多くの場合、子どもは母親など身近な大人との愛着関係の中で安心感を得ますが、親も時には疲れやストレスで子どもを十分に受け止められないことがあります。そんな時でも、他の大人が子どもの気持ちに寄り添い、受け入れてくれることで、子どもは再び心の安定を取り戻すことができます。トモエでは、子どもと大人が一対一で信頼関係を築くだけでなく、複数の大人が子どもを見守り支える環境が整っています。また、親同士も日々の生活の中で助け合い、互いの子どもを温かく見守っています。このように、子どもが多くの大人に受け入れられ、安心できる場があることで、子どもは自分に自信を持ち、のびのびと成長していくことができるのです。
 
 

②大人からの評価にしばられない(管理よりも尊重で育つ自分らしさ)

子どもが安心して過ごすためには、「ほめたり叱ったりで行動を評価する」のではなく、気持ちや行動に寄り添う関わり方が大切です。大人が評価や指示ばかりを重ねると、子どもは自分の気持ちよりも大人の顔色をうかがうようになり、本来の自分らしさややりたいことを表現しにくくなってしまいます。もちろん、社会のルールを守ることや、他の人を傷つける行動にはきちんと伝えたり注意することが必要です。しかし、普段は「できたことを褒める」よりも、「気持ちを理解して共感する」「やさしい行動には感謝を伝える」といった関わりを大切にします。子どもを一人の人間として対等に尊重し、上から管理するのではなく、安心できる関係の中で自分らしさを育めるように。トモエでは、大人自身も子どもと対等な関係を意識しながら、日々子どもたちと接しています。
 
 

③信頼関係の深まり

人が安心して幸せに、そして平和に暮らすためには、信頼関係がとても大切です。特に子どもにとっては、その基礎はまず親との間に築かれ、やがて少しずつ他の人との関係にも広がっていきます。トモエには赤ちゃんからお年寄りまでが集まり、一人の子どもは100人以上と関わります。その中では、ときにはけんかをしたり、大人から注意を受けたりして、嫌な気持ちやストレスを感じることもあります。しかし、多くの人はそうした行動を、その子のごく一部の姿として受け止め、寛容に接します。こうした経験を重ねる中で、子どもは「自分が信頼されるに足る人間であること」と同時に「周りの人が信頼に足る人間であること」を実感します。そして、その相互の信頼感こそが、子どもが安心感に包まれて生活するための土台となっていくのです。
 
 

④本音を表現しやすい(自分を抑え過ぎない)

多くの大人は、状況に応じて「本音」と「建前」を使い分けながら生活しているといわれます。しかし、自分の気持ちを言えなかったり理解されなかったりする状況が続くと、心理的な負担が増してしまいます。そのため、本音を安心して表現できることは、心の健康を保つうえで重要です。子どもは、親や周囲の大人、友だちとの関係の中で、自分の考えや感情を伝え、それを受け止めてもらう経験を通じて、「自分は大切にされている」と感じ、自己肯定感や自信を高めます。もちろん、いつも自分の意見が通るとは限りませんが、「気持ちを表してよい」「きちんと受け止めてもらえる」という体験は、自己否定を防ぐ土台となります。トモエでは、子どもも大人も互いに本音を伝え合い、それを尊重し合うことを重視し、その中で信頼に基づく豊かな人間関係が築かれています。
 
 

⑤愛着の安定的継続

子どもは、親を中心に、日々そばで関わる人とのあいだに築かれる愛着という情緒的な絆を通して、人とのつながり方や社会性を育んでいきます。安定した愛着は、人生のはじまりにとても大切な土台となります。養育者が共感的で温かく応えてくれることは理想的ですが、私たちはいつも完璧ではいられません。心に余裕がない日もありますし、それはごく自然なことです。愛着の形はそうした日々のやり取りの中で少しずつ形作られます。たとえ初めに不安定な部分があったとしても、その後に出会う安心できる人との関係が、やわらかく修正してくれることがあります。子育てをしている大人にもそれぞれの個性や偏りがあり、子どもに影響することもありますが、それを支えてくれるのが周りの人たちです。たくさんの人との温かな関わりが、子どもの愛着を育み、より豊かにしていくのです。