親自身の学び

 
 

①子どもを知る

参加することによって、親自身が「子どもを知る」貴重な機会となります。日々の関わりや観察を通して、親は我が子の個性や成長の様子、感情の動きや考え方に気づくことができます。また、他の子どもたちの様子や彼らが大人と交流している姿を通して、子どもという存在そのものの多様性や奥深さを実感し、人間の本質について考えるきっかけにもなります。子どもたちの素直な表現や行動に触れることで、親自身も新たな発見や気づきを得て、子育てへの理解や視野が広がります。このような体験は、親子の絆を深めるだけでなく、親自身の人間理解や成長にもつながり、より豊かな家庭や社会づくりの基盤となります。
 
 

②子どもとの関わり方の学び

トモエに親が参加することで、親は他の保護者や教師と日常的に関わり合い、さまざまな子どもとの接し方や関係づくりの実例を間近で見ることができます。自分とは異なる価値観や子育ての工夫、子どもへの声かけや対応の仕方など、多様な「親としてのモデル」に触れることで、自分自身の子どもとの関わり方を見直すきっかけとなります。さらに、子どもが大人から敬意を払われることの重要性を体験的に学び、子どもの人格を尊重する視点を深めます。また、他の親と悩みや経験を分かち合うことで、孤立感が和らぎ、子育てへの自信や安心感が生まれます。こうした学びの積み重ねは、親自身の成長につながるだけでなく、子どもにとってもより良い関係性や環境を築く土台となります。トモエの共同体的な環境は、親が主体的に学び合い、支え合う貴重な場となっています。
 
 

③自己の成長

乳幼児の率直な自己表現や本音に触れることで、大人も自分の原点に立ち返り、自分自身の言動を見つめ直す機会となります。また、子どもに敬意をもって接することの大切さを体験的に学び、子どもの人格を尊重する視点が深まります。他の親や子どもたちとの関わりを通して、多様な価値観や感情に触れ、自分の弱さや欠点を認め合いながら、寛容な心や他者と補い合う姿勢が育まれます。こうした体験は、親自身が自分の感情を素直に表現し、心のバランスを整える力を養うとともに、人間性を深く探求し、人生の意味や自己の可能性について考えるきっかけとなります。子どもとの関わりを通じて、親は「親として育てられる」ことを実感し、自己の成長と再発見を重ねていくのです。
 
 

③人間理解

トモエに親が参加することで、親は我が子や他の子どもたちの成長や日々の関わりを間近で体験します。妊婦や乳幼児とのふれあいを通じて、生命の誕生や成長の神秘、人間の持つ無限の可能性に気づかされます。また、さまざまな人との交流や協働を重ねる中で、他者の価値観や感情に触れ、「人間とは何か」「どう生きるべきか」といった根源的な問いに向き合う機会が生まれます。こうした日々の実体験を通してこそ、机上の知識では得られない深い人間理解が育まれ、親自身の成長や人間観の広がりにつながるのです。
 
 

④子ども時代の再体験

トモエで子どもと共に過ごす中で、親は子ども時代の自分自身と向き合う機会にたびたび出会います。子どもが困難や葛藤に直面する姿は、親自身の過去の経験や未解決の課題を呼び起こすことがあります。しかし、子どもと一緒に悩み、乗り越えていく過程を共にすることで、親自身も心の奥にあった課題に向き合い、癒しや成長を得ることができます。子どもの成長とともに自分も再び育て直される――それは親にとって大きな意味を持つ体験であり、親子で共に歩むトモエならではの学びの一つです。